『ブレードランナー2049』ネタバレ無しミニレビュー。映画として楽しめたし、SFとしても楽しめた。『ブレードランナー』の続編としては…






動画はSonyPicturesJapanより。

私は『ブレードランナー ディレクターズカット版』から入ったファンだが、『ブレードランナー2049』は前作のストーリーを巧みに組み入れた映画だと言える。ファンならにやりとできるところも当然ながらあるが、それらもやり過ぎてはいない。

ライアン・ゴズリングがプロモーションインタビューで語っているように、作品のストーリーやキャラクターについては多く語れない映画でもあるが、「前情報無しのピュアな体験」を楽しみたいがために予告編まで見ずに挑むような映画ではない。最近の映画では多いが*、予告編では本編のシーンの別アングルや、使われていない映像などもあるためだし、そもそも本編の情報量が多めなこともあり、予告編で垣間見えているのはほんの一部だ。(*予告編で全部出し切っちゃった感のある『スパイダーマン:ホームカミング』を除けば)

前作のリドリー・スコット監督はその映像美でも知られるが、本作の映像も美しい。前作を彷彿とさせる視覚的要素も多い。

未来のテクノロジーは、現代のテクノロジーの延長線上にあるものがある一方で(スマートジュエリーとか)、作中に出てくるコンピュータは前作の時代のものが進化したような(ある意味ゲーム『フォールアウト』みたいな)、読み込みにガチャガチャ音を立てる感じのものがあったりして面白い。

言語的な多様性は前作を超えていて、ある意味のリアリティーを持っている(現在世界に600万人しか話者がいないと見られているフィンランド語が聴くことのできる英語の映画なんてそうそう無い!)。本作監督のドゥニ・ヴィルヌーヴ(前回撮った作品は『メッセージ』)本人がケベック出身のフランス語系カナダ人であり、フランス語なまりの英語を話すことからも、多言語的なリアリティーに寄与しているかもしれない。

ただ、メインキャラクターの人種的多様性も残念ながら前作と同様で、(同じくハリソン・フォードが出演する『スター・ウォーズ』シリーズの多様性の抱擁とは裏腹に)前世代のハリウッド映画の域を出ない。街中には多様な人種が見られるものの、主役達は白人であり、有色人種は悪者に見えるか、怪しげか、脇役である。

ストーリー的には『ブレードランナー 劇場公開版』以外のバージョンの続きとなっていると言ってもネタバレにはならないだろう。前作のようなリズムやゆったりとしたシーンもある一方で、ストーリーに追いつくために処理するための情報量は前作よりもずっと多い。ただし、『ブレードランナー2049』のためのプロモーションインタビューでハリソン・フォードがなんと語ろうとも、映画としての作りは『ブレードランナー 劇場公開版』っぽい感じでナレーションこそないが説明過多。この点前作の持つ「多くを語らず、観客が考える」雰囲気は大幅に減っていると言えよう。

前作作中の効果音が聞こえたり前作にリスペクトされた音楽があったりするのは良い。ただ「ブオォーーン」みたいな曲も多くてそこはちょっと残念だった。

人造人間やロボット(ちなみにレプリカントは遺伝子操作でできた人造人間でロボットではない)を描いたSF娯楽作品にありがちな、(ある意味SFファンにこびた)典型的な展開や表現に陥らずに描いたSF娯楽作品というのは良い点だった。


(abcxyz)

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