新雪の「ギシギシ」感をFeelmax!初めてフィンランドの冬用ベアフットシューズを買った話



これまで長年に渡ってベアフットシューズを履いてきた。多分2009年くらいからだと思う。

人類の進化の過程で、裸足は一番自然な歩き方だとか、ベアフットシューズを売るサイトに行けば利点などは色々書いてあるはずなのでそこら辺は省く。私がベアフットシューズが好きなのは、足の裏に地面を感じられるからだ。足の下にある溝とか、凸凹とか、小石とか。これまでそこの分厚い靴では感じられなかったものが感じられるようになるのは、ある意味、自分の体に新たな感覚器を見つけるような新鮮な発見だ。

元々2009年からイギリスのVivobarefoot社のULTRAを履いてきて、去年末までに5足履きつぶした。ベアフットシューズの特徴でもある薄い靴底は、もちろんすり減れば穴が開くのだ。





元々ULTRAは一足7000円~9000円ほどで(上のリンクは参考までに載せているが、初代ULTRAなので値上がりしているのかもしれない)、コストの面で言えば5年で5足は悪いと思うかもしれない。しかも、このULTRAというモデルは上面は穴だらけのデザインで(靴の内部にはスリッパ的な布製の部品がついてくるのだが、私はそれは取り外して使用していた)、雨が降れば靴の中に入る。しかし、足に汗をよくかくので夏にならなくても足が蒸れて不快だった私にはこれは夢のような商品だった。雨が降ってくれば靴下を脱げば、足は濡れるが穴だらけのデザインなので室内に入ればすぐに足は乾くし、何よりも足が蒸れない。デザインもかっこいいし、穴の空いたデザインのお陰で、靴下の色が靴の上から見えて様々な色を楽しめる。




写真はULTRA 2。

しかし残念なことに、現在はこのULTRAはもう製造されていない。Vivoにも問い合わせたのだが、Vivo側にも在庫はないので各店舗が持っている在庫しかない。その代わりに作られているのが後継モデルとなるULTRA 2だ。今年に入ってからはこのULTRA 2を使用しているのだが、形状が微妙に変更されており、足先が多少広めになったせいで外観のシャープさが失われている。知り合いからは「あ、その新しい靴、クロックスでしょ?とか言われてしまうこともあり、少々残念。また、丈夫に一部取り外すことのできない(接着されている)布の部品があるのも好きではない。





とは言え今年の大部分をULTRA 2を履き過ごしてきた。だが、ULTRAシリーズが履けるのも、秋のまだ寒くないうちまで。冬になったら底の厚い履き心地の悪い靴を使うしかない…なぜだかこれまで私はずっとそう考えていたのだが、最近になってVivobarefootの新商品紹介メールに冬用のベアフットシューズが掲載されていることに気づいた。

最近出たモデルの中には中にはノルウェー、スウェーデン、フィンランド、ロシアにまたがるラップランドに住むヨーロッパ唯一の原住民サーミ人(Saami)の冬靴にインスパイアされたモデル「Saami Lite」まである。

だがヘルシンキでVivo社の冬用モデルを試すことができる場所は見つからず。ULTRAシリーズの靴底が雨の日の路面では比較的滑りやすかったこともあり、別のオプションを探すことに。「Barefoot shoes winter」なんて検索してみたところ、なんとフィンランドのベアフットシューズブランドが見つかったのだ。

その名はFeelmax。日本ではわずかにFeelmax社のソックスを扱う店が見つかるだけだが(下)




会社としては1993年から存在するようで、ベアフットシューズは2006年から作り続けているという。冬用モデルの名称は「Kuuva 3」となっている。この製品についてのレビューを探してみたのだ。見つからないことはないのだが、気になったのはこの一つ前のモデル「Kuuva 2」の米アマゾンのレビュー。それによれば物によっては数週間で壊れてしまったというレビューがあったのが気になった。きっと後続モデル「Kuuva 3」は良くなっているのだろう、と思いたかったが、あまり長期間使用したレビューが見当たらないのが心配だった。

購入を検討するにあたって実店舗で試してみたかったのでヘルシンキで試せる店を探したところ見つかったのがVaruste.net(Ruosilankuja 3
00390 Helsinkiにある)。ヨーロッパ最大のミリタリーサープラスショップVarustelekaの通りを挟んで隣りにある結構広いアウトドアショップだ。

Varuste.netのサイトを見てまず気づくのは、この商品が「Kuuva 3」ではなく「Kuuva 4」であること。Feelmaxの公式サイトは更新しないまま新モデルを販売しているのか、それとも本国フィンランドでは試験的に新モデルを売っているのか…?

サイトを見る限りは店頭にもあって良さそうだったので、Varustelekaに行くという友達と一緒に行って試着してみた。冬用のブーツだから分厚いソックスを履いてから履くことは考慮されているようで、普段履くEUサイズ41でも少し余裕がある。




「先程まで履いていた靴」フィンランドのブランド。色や形は好きだが、底も分厚く長時間はいていると足が痛くなる。蒸れるし。


それまで履いていた靴はかかとが分厚かったため、最初にKuuva 4を履いたときには爪先側が反り上がっているような感覚を受けた。この感覚は直残まで履いていた靴による錯覚だろう。冬靴であることと、底にすべり止め用の溝や凹凸がついていることから、Vivo ULTRAほどの薄さ/地面感覚は得られない。しかしそれでも先程まで履いていた靴や、雪や森のある環境に行くためにと2009年に購入し、冬場はずっと履いてきたハイキングシューズと比べたら、足裏から得られる感覚は月とスッポン。170ユーロで早速購入し、雪の積もった屋外を歩いてみた。(残念ながらフィンランド人の友だちの足のサイズに合う商品は在庫がなく試すことができなかったようだが、もっと大きめのサイズを試したところ「これいい!買ってみたいかも」と言っていた。)




「冬場ずっと履いてきたハイキングシューズ」。色や形は好きだが、底は分厚く、蒸れる。

新設を踏み込むときの「ギシギシ」という感触は、底の分厚い靴を履いていても感じることができるが、それは足全体で感じるもの。対してこのKuuva 4では足裏からもその感触のディテールがより鮮明に感じられることで、まるでSD画質から(4Kとは言わないまでも)HD画質になった感じだ。底の分厚くないゴム長靴を履いて雪の中に出れば似たような感覚かも知れないが、薄い靴下のまま(冬でも分厚い靴下は汗がこもるので履かない)でも、外気温-5度ほど、雪の中に立ってバスを10分ほど待っていたが、足は寒さを感じなかった。もちろん濡れてなんかいない。前述のKuuva 3のレビューでは「防水性は高いが蒸れる」とあったので気になっていたのだが、先程まで履いていた靴との単純な比較では、Kuuva 4のほうが蒸れにくい(靴内部によりスペースがあるからかもしれない)。

また、Kuuva 4の靴裏の滑り止めもなかなかいい。今のところ路面が完全に凍っている状況には遭遇していないものの、踏み固まった雪の上にグジャグジャの雪や新雪があるような状況で、今のところスリップしたことはない。一つには滑り止めのおかげであるのは確実だが(先程まで履いていた靴は底面を見て想像できるように雨が降った日の電車内ですら滑る)、もう一つには、足裏にその下の地面の感覚が感じられること、そして柔軟性のある靴底のお陰で足全体で地面をグリップできることにあるだろう。

何よりもいいのが、冬用にいつも履いていたハイキングシューズよりも、先程まで履いていた靴よりも軽いということ!そしてもちろん、冬以外の季節にいつも楽しんでいた足裏の感覚が、冬にも、そしてさらに寒さを感じることなく、楽しめるということだ。他社の冬用ベアフットシューズ/ベアフットブーツは未だ試す機会がないが、冬でももっと歩くことを楽しみたい人、滑るのがコワイという人は試してみるのもいいかもれない。




Kuuva 4についていたタグに書いてある英語が、日本で時折見かける英語のようにちょっと怪しいのはご愛嬌か。

なお、これまでベアフットシューズを試したことのない人には全員に言えることだが、履き始めてすぐは足裏に筋肉痛が起こるだろう。これはもちろんこれまでそこの分厚い靴のために使われていなかった筋肉が使われるためだ。ベアフットシューズ関連サイトとかに書いてある注意書きとかもよく読んで、怪我の内容春夏秋冬ベアフット生活を楽しんでいただきたい。


(abcxyz)

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