クラウドファンディングプロジェクトが先に製品化した中国のパクリ品を公式採用した例

よくわからないタイトルになったが、なんだか鶏が先か卵が先かみたいな話になったプロジェクトがある。





それが以前ブログで取り上げたKickstarterプロジェクト、モジュール式シューズの「Shooz」だ。結局イタリアだったかで作る予定が、その技術がイタリアになく、韓国で製造しようとしたが、ジッパー周りの問題で韓国の製造会社も降りた。そんなところでなんと予想外の事態が!

なんと中国の会社がShoozのコンセプトとプロも動画をパクリ、Shoozのパクリ製品をネット販売していたのだ!しかも品質も高くすでに大量生産している!!!

そこでShoozの製作者はこの中国の会社にコンタクトを取った。訴えないから、公式サプライヤーになってくれという交渉。交渉は成功。これから大量生産化するよ、ということに…。

つまり、プロジェクトを生み出した側は生産化する術をこれまで探し出せないでいたら、中国でコピー品がすでに作られていたので、それを公式品としますよ。という話。



クラウドファンディングプロジェクトとパクリ製品は切っても切れない中だ。たいていの場合パチモンが出てきたときに損をするのは、もともとアイデアを生んだ側であることが多いだろう。でも今回は珍しくWin-Winな結果になりそうだ。

クラウドファンディングプロジェクトでは、ある意味アイデア勝負の製品(化プロジェクト)が多いといえよう。ただ、そういったアイデアが売りのものは、意外と作りがシンプルで真似して作ることが容易なものもある。

例えばKickstarterプロジェクトでは、製品の名称と絵柄だけが売りの「Pussycat Panties」というプロジェクトが、プロジェクトを公開してから中国で同じアイデアの製品が勝手に作られたりしている。

しかしパチモンも一概に悪とは言えない。例えば、以前(Pussycat Pantiesと共に)紹介したKickstarterのサングラスケースプロジェクトでは、プロジェクトを作った側は無事に製品化したのちに購買希望者(私)からのメッセージに返事をすることがなく、結局Ebayで販売されている怪しげなコピー製品らしきものを購入するに至った。


もちろん、アイデア泥棒はアイデア泥棒。これはある意味「お金を払ってでも見たいNHKの『みんなのうた』の曲がNHKオンデマンドでは見れないけどYouTubeに広告付きで掲載されている」状況に似ているかもしれない(もちろん細かいことを言えば、製品の場合盗まれているのはアイデアのみで、コピーする側も工場で生産するための出資はしている)。

だが、同じ金額を払ってでも見たいというユーザーからしてみれば、作り手が提供を怠っているものを他がコピーし同額で提供している場合、もちろんそれを買いたいわけである。この場合、提供を怠っている側がコピー品の差し止めをしようとすればLose-Loseの関係になる。ユーザーは希望の商品を得られず、コピー品販売者は商売あがったり、そしてもともとの作り手はユーザーからの非難を浴び評判を落とすだろう。

今回の「Shooz」の例は、プロジェクト計画の甘さ、パチモンの作り手の製品化能力の高さ、プロジェクト実施者の柔軟性が合わさった面白い状況といえるかもしれない。実際に製品が発送される予定なのは9月中旬だが(最初は今年3月発送予定だった)、実際に届くか、質はどうなのか、プロジェクトで約束された通りのものなのか、この目で確かめる日が楽しみだ。


(abcxyz)

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