2015年6月30日火曜日

鳥取市国際観光民間サポーターへの批判。鳥取市は利益のために無給で人を使いたいようだ。

前から「鳥取市国際観光民間サポーター」を批判しようと思っていたのだが、7月号の市報を読んで思い出したのでこの機会に批判しようと思う。





私は鳥取の魅力を海外の知り合いや友達に発信することに積極的だ。彼らが鳥取を訪れてくれた時には、もちろん自ら進んで通訳兼観光ガイドを引き受ける。なぜするのかと問われれば、それは自分の愛する鳥取の魅力を、世界中にいる友だちに向けて発信したいからだ。出身地や居住地に限らず、自分が住んでいる土地が好きならば、そこに遠方から来る友達に紹介したいこの気持は誰だって持っているはずだ。

他方で私は、英語-日本語の翻訳を、コタクジャパンギズモード・ジャパン、そして鳥取県に向けて行っている。以前は鳥取環境大学の英語村で英語話者スタッフとして働いていた。そして通訳としても鳥取市内、鳥取県内のイベントなどで行ってきた。つまり私は、プロとして翻訳や通訳として仕事を行っており、ボランティアで通訳観光ガイドをしたりもしているということだ。

一方の鳥取市もプロレベルの通訳スキルを持ったボランティアの通訳観光ガイドを欲しがっている。だが私は絶対に登録しようと思わないばかりか、もし登録しようとしている人が身近にいたら積極的に止める勢いだ。鳥取市が「随時募集」している鳥取市国際観光民間サポーター。何が悪いかって?ご説明しよう。



・問題・

問題はみっつある。

ひとつ:・外国人観光客と鳥取市に利益が出るのに、その架け橋となる人だけ恩恵にあずかれない・

ふたつ:・ボランティアと言っておきながら制限的な登録制度・

みっつ:・世界を相手に市の観光を担うのに必要な語学力が軽視されている・

「鳥取市国際観光民間サポーター」をわかりやすく説明しよう:

鳥取市は外国人観光客を増やしたい。誰も外国語はできないだろうから通訳を雇おう。でもお金は払わない。ただし、鳥取の観光についての教育はタダで受けさせてやろう。何かあったら悪いから保険もこの無料の労働力にかけておこう。

ということ。詳しく知りたいならば「鳥取市国際観光民間サポーター活動実施要領」のpdfファイルを読むといい。



・外国人観光客と鳥取市に利益が出るのに、その架け橋となる人だけ恩恵にあずかれない・

まずボランティアとは何か考えてみよう。それは「自ら自発的に社会奉仕活動などを行う人」だろう。労力、知識、技術、経験、時間、これらをボランティアする側が地域なり社会なりに寄付すると考えてみるといい。じゃあこれを何に寄付するか?

地域を綺麗にするボランティアは素晴らしいことだ。貧しい国や地域にボランティアに行くのもいい。そこには何がしか問題があり、あなたはそれを解決するのに自らの持つ能力と時間を無償で提供するのだ。自発的に。

では鳥取市の「鳥取市国際観光民間サポーター」はどう違うだろうか?そこではネガティブ(問題がある状態)をニュートラル(問題がない状態)にするべく無償の労働者が求められているわけではない。ニュートラル(問題がない状態)をポジティブ(より良い状態)にしようとすることに無償の労働者が求められているのだ。

じゃあ、子どもたちに読み聞かせをするボランティアや、老人介護施設で昔の歌をうたうボランティアはどうか?それらはニュートラルをポジティブにすることだろう。もちろん!だが大抵の場合、私はそれを批判しない。なぜなら、大抵の場合、ボランティアを募集する側は一つのことを理解しているからだ。それは「自らが経済的な収益、利益を上げるようなことにはボランティアを募集しない」ということだ。

「鳥取市国際観光民間サポーター」の場合はどうだろうか?観光客が外国から来ることで、鳥取の観光業は経済的な利益を得る。鳥取の評判が上がりもっとたくさん外国から観光客が来るかもしれない。そこで彼らが落としていった外国からのお金で経済的な利益を得るのは鳥取市だ。その一方、「サポーターのガイド活動はTourist Guide Serviceとして積極的に広報し、外国人観光客に利用していただくことにより魅力ある鳥取市を広く発信」するということで、ガイド活動にはお金は払わないものの広報には積極的だという。

鳥取市は経済的なリスクをほとんど負うことなくこれを実現している。なんてうまい話だ!しかしどうだろう、外国人観光客と鳥取市とを結ぶ架け橋となっている「鳥取市国際観光民間サポーター」はその経済的な利益の恩恵を直接あずかることはない

もし困っているならお金を出してでもこれを解消しようとするだろうし、困窮しているなら鳥取への愛からボランティアをしたいという気も出てくるだろう。だが困ってもいない人様が経済的な利益を生むために、無料で働かされるのはまっぴらゴメンノスケだ。



・ボランティアと言っておきながら制限的な登録制度がある・

私は実際にこのサポーターの募集を行う「鳥取市国際観光客サポートセンター」に行って話をしてみたことがあるのだが、それによれば(しばらく前なのでうろ覚えで申し訳ないのだが)このような内容だった:

「日本の地域によってはボランティアで通訳をする団体が存在する。鳥取市には無いので、将来独立した通訳観光ボランティア団体を作れるようなボス的な存在を生み出すために、鳥取市が育成する。」

だったら、観光ガイドとしての知識を授けてくれる「座学・鳥取市や近郊の観光地めぐり・外国人観光先進地訪問・鳥取駅観光案内所での案内業務研修などの学習会」(先のpdfより)だけ無料で受けさせてくれたら、自分が勝手に知り合いやCouchSurfer相手にボランティアで通訳観光ガイドをするから…と提案したのだが、残念。そうは問屋が卸さない。やるからにはこの「鳥取市国際観光民間サポーター」に登録しなくてはならないし、登録したら登録したで自主的なボランティア活動ばかりやることは勧められておらず、このサポーター制度を通じた依頼を受けるようにとの事だった。(なお登録して依頼があっても断ることができる)

しかも、(これはうろ覚えでなく前述のpdfに書いてある)サポーターは登録申し込みをしてから約1年間、様々な研修に出席せねばならず、出席率が3/4を超える人を対象に書類選考がなされて、正式登録となる。そうなれば晴れてタダ働きのガイドとして認められるのだ。加えて応募者の要件として「通訳等が必要となる場所まで単独で移動できること」というものも在る。通訳をするための場所には自ら移動するすべを持っていないといけない(これに関しては「活動に係る交通費等の費用については実費弁償する。」)

働く側には能力が要求され、働く側には研修を受けないといけないなどの制約が存在する。そして、雇い主が経済的な利益を上げる。それに似たものはなんだろう…?それってあまりにも職場環境に似ていないだろうか?ただし、職場では雇われる側にも経済的な報酬があるものだが、「鳥取市国際観光民間サポーター」では働いてもお金は出ない



・世界を相手に市の観光を担うのに必要な語学力が軽視されている・

もしあなたが鳥取市に来て、鳥取市が認定した民間ガイドがこんな口調で話しかけてきたらどうだろう?

おい、おまえ。これ、鳥取のでっかい砂場。らくだ、いる。写真、お金いる。あれ、馬のせなか。来い。おまえ、おれ、上まで登る。

そもそも誰もができることであればほうっておいたら誰かがするかもしれないが、これは多くの人が可能な読み聞かせやゴミ拾いのボランティアとは違う。異なる点としては、少なくとも通訳をするには2つの言語を流暢にできないといけないことが挙げられる。それを習得しようとすれば何が必要だろうか?生まれ/育ちがバイリンガルな環境でない限りは、2つの言語を習得するにあたって、膨大な時間と努力、集中力、そしてそれに伴ってお金も費やされる。

そしていくら言語力があったとしても、もう一つ必要なものがある。やる気だ。これは少なくとも我々の生きる社会の中では、情熱、給料、必要性などがやる気の原動力となっている。

もしそれがなかったらどうなるか。

え?何?ああ、そうだよ、これが鳥取砂丘だよ。見りゃわかるだろ。なに?ラクダの写真取りたいの?写真取るだけでも金せびられるぜ?あっち?あれは馬の背って呼ばれてるもんで高さは48メートル。え?登りたいの?めんどくせーな、ついてかなきゃ駄目なのかよ?

うろ覚えの「鳥取市国際観光客サポートセンター」の人との会話では、確か現在(と言ってもあれは今年初めだったか)の登録者数は両手の指で数えるほど。

外国からの観光客相手に、鳥取市の観光を背負って通訳ができるほどの能力があれば、もとからその能力を使った仕事をすでにしているだろう。だがもちろん、鳥取市でそんな仕事(で条件が良いもの)は少ない可能性が高いから、そもそも鳥取にいないだろう。もしくは、その能力があっても、おまんまを食べるために日々働いて、無料で通訳観光ガイドなどしている暇はなかろう。それとも高い能力を持ちながらそれを持て余した退職した人たちが、都合よく必要な人数いると見ているのだろうか?



・提案・

A案:この鳥取市国際観光民間サポーター登録制度のまま、鳥取市が正当な対価を払う。

以上。



私にとって鳥取市のこの「鳥取市国際観光民間サポーター」が何に見えるのか。それは、「自分の見栄えを良くするために、高価な服を買いたいのに自分の財布からは支払う気のないワガママな大人」だ。もしくは知識もなく、考えることもままならぬまま、なにがしかの国際観光を支援する(ように少なくとも見える)動きをはじめなければいけなかったために生まれた失策か。

多くの外国人が訪れる観光地であれば、商魂たくましい観光業者であれば片言の外国語を自ら学ぶであろう。鳥取市はそうではなく、まず人を外国から呼んで鳥取のアピールをしたい。なのにそこに投じる金は間接的(サポーターの教育と制度の宣伝)であり、直接観光客に鳥取の魅力を伝えるための人材にはお金を払わない。これは現状で機能していないであろうし、今後サポーターが育ち増えることもないだろうし、継続もままならないだろう。

その一方で、外国語がある程度できる鳥取市民たちの草の根的で自発的な、「真の通訳観光ガイドボランティア」活動は続いていくことだろう。表立って鳥取市に感謝されることなく、それでも鳥取市に利益をもたらしながら。



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(abcxyz)

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